国語の授業が大好きだったんです。現代も古典も。日本語や漢字って、似ているのに全然意味が違うものや、逆にパッと見関係がなさそうなのにとても深いつながりがあるものなどさまざま。そんなことばと文豪たちの巧みなワザが詰まった国語の教科書は私にとって最高の読書本でした。というわけで勝手にタイトルで遊んでいます。
漢字が好きだとやっぱり字面から見てしまうんですよね。「皮」と「革」。この2文字を並べて見せられたとき、だいたいの人は意味の違いがイメージできるのではないでしょうか。ぺらっと辞書をめくってみると、皮は「動植物の外表を覆い包んでいるもの」、革は「毛を取り除いてなめした獣の皮」とあります(出典:三省堂「大辞林第三版」)。なるほど、皮は手を加える前の状態で、革は手を加えたあとの状態ということですね。ここで気になるのは、革の語釈に出てきた「なめした」という単語です(え?菜飯?美味しいですよねえ、あれ。好きな混ぜごはんベスト3くらいには入りますね)。
「なめし」とは、「皮」を素材として使用できる状態、つまり「革」へと改質するための基本的な作業のことだそうです。現在ではコラーゲン繊維組織に“なめし剤”と呼ばれる化学物質を施して改質させるのが一般的なのですが、昔は擦ったり揉んだりして柔らかくする物理的な方法もあれば、川の清流に長時間浸ける「姫路白鞣し」という方法もあったのだとか。そもそも「皮」というのは、主にコラーゲンというタンパク質繊維からなる真皮層の組織であって、このままでは組織が腐敗したり硬くなって製品素材として使うことができないので、この「なめし」が欠かせないというわけなのです。ちなみに以前読んだ某少年マンガで、主人公が空腹をしのぐために自分が履いていた革靴を煮て食べるというシーンがあったのですが、あの作業も所謂「なめし」のひとつだったのでしょうか(革って美味しいんですかね……)。
ためになるコラム感がちょっと出てきました。そうです、真面目なんですよこのコラム。タイトルでふざけてるくせに。「羅生門バカにしてんのか!」って思った方も少し、ほんの少しでいいから、まあ寄ってってよお兄さん!という感じで引き止められる内容にしていきますので、お楽しみに。次回は、「なめし」についてさらに深掘りしてみましょう。