さて、前回は「なめし」について紹介しました。よしよし、これで誰かに聞かれても「知ってる?革ってなめされてできるんだよ!」と鼻高々に自慢できるぞ……と思いきや、現実はそんなに甘くありませんでした。「なめし」と一口に言っても、なめす前の準備もあればなめし後の作業、そして仕上げと非常に長い工程を経てようやく皮が革になるんだそうです。前回のままでは自慢どころか私がなめされて、もとい、嘗められてしまいます。危なかった。ということで、もっと深くまで勉強してみることにします。
革の完成までには長い工程があると書きましたが、その数ざっと24工程。長い!もちろん原価もあるのでしょうが、これだけ手がかかっているのであれば良いお値段するのは納得です。この工程の中で使われる薬品や染料、それぞれにかける時間などはタンナーによって違います。タンナー(tanner)というのは、なめし作業に従事する人や製革業者をさす言葉です。土地の環境や季節によっても配合を変えるそうで、なんだか科学者みたいでカッコイイなあ、なんて思ってしまいます。
24ある作業の中には、調べてみると興味深いものがたくさんありました。たとえば、専用の機械で皮を所定の厚さに分割する作業。この工程では「銀面側(表面)」「肉面側(床皮)」の二層に分けられるのですが、床皮は革になる以外にも食用、工業用、医療用コラーゲン製品にも使われるのだとか。余すところなく素材を活かすこの精神、アッパレ!また、なめし作業に使われる薬品も種類によって違いがあるようで、皮に浸透させることで耐久性を与える塩基性硫酸クロム、使用すると発色や日焼けによる色の変化で経年変化を楽しむことができる植物タンニン剤などさまざまです。幅広い用途で使われる革だからこそ、加工の工程では最も適した性質にするための工夫がなされているのですね。
革にはいろいろな種類があって、それぞれの特性に合わせるためにこれまたいろいろな作業がある。全くもって革とは奥深い。どんどん気になってきちゃいました。その種類、完成後の革製品はもちろんですが、調べていたら「え、こんな皮も使っているの!?」というものがたくさん出てきたので、次回は「エキゾチックレザー」についてお話します。