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の上にも三年

レザージャケットを颯爽と羽織り、革靴でカツカツと歩く姿。「カッコイイ!」「大人~!」と憧れてしまう典型的な例でしょう。ちょっと褪せた感じのジャケットを「これは経年変化で…」なんて説明された日にはもうイチコロです。はあ、カッコイイ。私もそんなふうにカッコよく着こなしてみたい……と言ってはみたものの、正直自分に似合うとは思えません。オシャレというのは人それぞれ。小物はまあ良いとしても、革ジャンを羽織ったりするのはもっと似合う誰かにお任せすることにしましょう。

さて、そんなオシャレ文化が一体いつから始まったのか、みなさんはご存知でしょうか。今や、書店に足を運べばどれを読めばいいのか迷ってしまうほどの数のファッション誌がズラリと並ぶ時代です。そもそも私たちが見た目に気を遣う感覚があるのは、「衣服を身につけている」から。極論ですが、文明が発展せず素っ裸で街をうろうろするような世界であれば、パーティーがあるからときらびやかなドレスを選んだり、大事な取引先との面会だからキッチリとスーツを着込んだりとTPOを気にすることもなかったでしょう。このコラムではファッションの起源について深く言及はしませんが、私もかねてより気になっていた話題なのでいつかきちんと調べてみたいものです。

なかでも革ファッションは、勝手なイメージではありますがオシャレ上級者の着こなしという感覚があります。そんなオシャレ、生まれたのなんて産業がだいぶ発展してからでは……なんて思っていたら、とんでもありませんでした。居たのです。5300年も前に、革ファッションを着こなしていた人類が。

1991年、イタリアとオーストリアの国境付近のアルプス氷河から、一人の男性が発見されました。そのアイスマンが身につけていたのは、革製の下着に革製のタイツ、羽織っているコートも履いている靴も革製で、革のポーチが付いているベルトまでしていたのだから驚きです。5300年前のヨーロッパといえば、青銅器時代前期。石器時代を経て、さまざまな地域との交易の中で青銅器のやりとりが盛んになってきた時代です。つまり、ようやく鉱物加工が主だってきた頃。その時代に、全く同じではないとはいえ現代と同じく革のコートを着て革靴を履く文化があったのです。月並みな言い方になってしまいますが、これぞ歴史のロマン!革を着こなすスタイルは、今日まで脈々と受け継がれてきたのですね。

地球上の壮大な物語に触れた前回と今回、いかがでしたでしょうか。これだけネタがあるのだから、どこかの放送局で革スペシャルが放送できちゃいそうですね。でも大河ドラマ並みのお話をずっと続けていくのも疲れてしまいます。なんてったって適度なゆるさがモットーですから、このコラム。

というわけで次回は個人的趣味に走ります。待ってました、革靴のお話!

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