さて、今回は予告通り「色のついた革製品」についてのお話。こうやって詳しく書いてみるにあたり、改めて「あんなに鮮やかな色の皮膚の動物がいたら希少価値だろうから、染めてるんだよな…どうやっているんだ」と純粋に気になってきました。
私たちがお店で目にする革製品は、最後の仕上げとして様々な加工が施されています。洋服のようにトレンドがあるようで、毎年たくさんの種類が発表されているのだとか。実はどこかでパリコレならぬ革コレが開催されているのでしょうか。
たとえばエナメル革は、革の銀面(鞣した状態の革の表皮部分)をバフィング(サンドペーパーで革の表面を除去して起毛させること)し、仕上げ剤の効果で光沢のある強い被膜をつくったもの。学生時代、運動系の部活動に所属していた友人がよく持っていたのを思い出しますが、あまりにもツルツルしているので革製品だと認識していませんでした。
ほかにも、使い込むほど独特の風合いが生まれるオイルレザーや、革の肉面をケバ立つようにバフィングして仕上げるスエードやベロア等、よく見かける革にはそれぞれ特徴的な加工がされています。
では、肝心の着色はどうやっているのか?革に色を付ける方法としては、「染料」を使った方法と「顔料」を使った方法の2種類があります。染料は、革の繊維の奥まで入り込んで染まるので見た目の風合いを損なわないという利点がありますが、耐水性が低いため色落ちしやすいという弱点も持ち合わせています。もう一つの、顔料を使った方法は、革の上に色を“乗せる”着色になるので、鮮やかな色が出やすく、色落ちもしません。ちなみに、色をつけずに革本来の風合いや美しさをいかしたものは「素上げ革」と呼ばれます。
色付けは、製品としての美観を高めることはもちろん、革の表面を保護する役割も担っています。単なる「おしゃれ」ではなく、革を革らしく、永く使うために必要な工程なんですね。これからもお付き合いしていく自分の革製品たちのことをもっと知ってみたくなりました。
次回は、意外に深い「革ベルト」の世界をご紹介します。