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ってもっとbaby

革いいね!コラムも15回目を迎えました。実は似たようなことを第10回でも言っています。5回おきに言うつもりなのかこいつは…と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。私が今後「ついに」とか「とうとう」という出だしで使い始めたら、ああ、5回分進んだんだな、と思っていただければ幸いです。

まあそんなことはさておき、今回の主役であるベルトのお話に移りましょう。これまでに紹介してきたカバンも靴も、もちろん革製品のイメージが強いのですが、ベルトといえばまず間違いなく第一印象は革でしょう。父親のズボンをハンガーにかけるとき、使い込んだテロンテロンの革ベルトを見て「革ってこんな風になるんだなあ」としみじみしてしまったことを思い出します。ベルトはきちんと大切に使えばとても便利なアイテム。それゆえに、自分の体型になじませながら経年変化とともにおしゃれを楽しむには、品質の良し悪しが肝となります。そして、色や素材のほかにもベルトにはバックル(留め具)など注目ポイントがたくさんあるのですが、今回は縫製の違いについてご紹介しましょう。

みなさん、ベルトの縫い目って気にしたことありますか?私はウエストをキュッとしてくれればそれでいいやという人間なので、あまりファッションアイテムとして見たことがなかったのですが、実は縫製の仕上がり具合もベルトの魅力の一つなのです。大きく分類すると、革ベルトは「一枚もの」と「合わせもの」の2つに分かれます。

一枚ものは文字通り一枚の革で仕上げられたもの。そして合わせものはさらに2種類に分けることができ、表革と裏革の間に芯を入れ接着剤で貼る「貼り合わせ」と、両縁にミシンをかけた「縫い合わせ」があります。私はここまで聞いてようやく、よく見かけるベルトが縫い合わせだったことに気がつきました。2段階分けたらもう無いだろう…そう思っているあなた、まだです。まだ分かれます。そのよく見かける縫い合わせには、さらに5種類が存在するのです。一気に全部ご紹介するとこのコラムがあっという間に最終回を迎えてしまいますので、ひとまず今回は簡単に「無双」についてお話しします。

「無双」…アクションゲームか何かでしょうか、字面からすごい圧を感じます。これは一枚の表革を使って芯革をぐるっと覆ってしまい、その状態で張合わせたものです。カーフ(仔牛の皮)のような柔らかい皮革に適用されることが多い縫製加工で、縫い方にも種類があります。裏側を千鳥模様に縫い合わせる「千鳥無双」、縫い目が目立たないように内側に回り込ませる「袋無双」など。無双とつくだけでこんなにも強そうに見えるのは何故なのでしょうか。しかし、そろそろこの言葉を口にしてもよいと思います。「まだ分けるんかい‼︎」

ベルトの世界は想像以上に深いようです。続きはまた、別の機会に。

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