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ケアを止めるな!

少し前の回で、「実は革靴に無理させてるんじゃ…」というお話をしました。あれから何だかいろいろと気になって、本当は気づいていないだけでもっといろいろやらかしてしまっているのでは?と不安になってきてしまったので、今回は革のトラブル対処法について考えてみます。

まずは一番遭遇しがちな「汚れ・シミ」のトラブル。うっかりペンのインクで汚してしまった、というようなときは、汚れがついた直後なら手やティッシュペーパーで拭き取れば目立たなくなる場合も多いでしょう。また、出先で靴の汚れに気づいた際も、普段からクリームでお手入れしていればティッシュで拭き取ればOKです。雨に濡れてシミになってしまった場合でも、すばやく水気を拭いて陰干ししたり、クリーナーで下地を整えながら、靴と同系色のクリームを塗って対処できます。ただし、ペンの場合はペン先の圧で革に跡をつけてしまうと復元は不可能になります。靴に関しては、濡れたからといってドライヤーで急に乾燥させると革の傷みにつながるので、取り扱いにはくれぐれも注意しましょう。

汚れならまだ何とかなるけどキズがついてしまった!そんなときも焦らず大丈夫。浅いキズであれば、シミ対策と同様、クリームを塗り込んで隠すことができます。女性の場合はよく履いているパンプスのかかとがめくれてしまったという経験、多いのではないでしょうか。ゴムなどの溶剤系接着剤とつまようじを使えば貼り合わせられますし、最後はクリームで上からカバーすれば問題ありません。クリーム大活躍ですね。

そして、放っておくと厄介なのが「カビ」です。革とは関係ありませんが、アパート住まいの私は今の家に住み始めてからというものずっとカビと格闘しています。熱がこもるので冬になると割にあったかいのはいいのですが、朝の結露がこれまた見事なんですよ。しかもそれをほったらかしにするもんだから、小さなカビがオギャアオギャアとたくさん生まれてくるんです。おめでとうございます、立派なカビですよ。なんだか愚痴になってきたので戻します。

カビは、革の組織に深く入り込んで除去できなくなってしまう前にサッと対応することが重要です。皮革専用のミストなるものがあるようなのですがそれを使用します。ミストを布になじませて革表面のカビを拭き取り、カビがそれ以上広がらないように、生えていた部分を中心に直接スプレーします。あとは風通しのよいところで陰干しして、ここでも登場する革用クリームでお手入れすれば完了。スエードの場合はブラッシングすればOKです。ちなみに広範囲のカビを拭き取るときは、一度拭き取った面で何度も革に触らないようにご注意を。せっかく取り除いたカビがまた革に付いてしまったら、お手入れの意味がなくなってしまいますからね。

なんだかもう総括すると「クリームを手放すな!」みたいな説明になっていますが、いかがでしょうか。これで私も、変にびくびくせず革とお出かけできそうです。「お互いしわくちゃになるまで一緒に居ようね」という口説き文句が成立してしまう革さんと、長いお付き合いをしていきたいものですね。
…革じゃない相手も、できるといいんですけどね。ははは。

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