いいですよねぇ、海外。
…突然どうしたという話ですが、わたくしまだ一度しか海外に行ったことがないのです。しかもそれも半年前なので、つい最近のこと。家族も「旅行なら国内で十分」派だったため、正直今まで海外に興味を持つということもなかったのですが、社会人生活も長くなっていろいろなジャンルの情報をインプットする機会が増えると、やはり気になってくるものです。美味しいものを食べたり、歴史的建造物を間近で見ることもできてしまう海外旅行。知れば知るほど、私の「いつかやりたいことリスト」の項目が増えていきます。やっぱり行くならヨーロッパかなぁ。でも南半球にも興味があるし…うーん、夢は尽きません。
と、唐突に海外のお話をしたのは、革にもワールドワイドなストーリーがあるということをお伝えしたかったからです。各国に産業の得意分野や特産品があるように、実は革も国によって種類や加工技術にバリエーションがあるのです。
世界で初めて革を使ったのはネアンデルタール人だと言われています。歴史の授業の最初のあたりでお世話になりましたね。ネアンデルタール人の遺跡からは狩りに使用する石器だけでなく、皮から肉をそぎ落とすために使ったと思われる道具も出土しています。肉を落とす→叩く→揉む→燻すといったこの一連の作業が、現在の「なめし」技法に発展していったようです。皮の加工はロシアやカナダ、ノルウェー、スウェーデン等の寒い地域から広まった考えられていて、いま挙げたような地域ではなめし作業の原始的な道具も見つかっているのだとか。寒冷地から広まっていった理由としては、やはり防寒に使うためでしょう。防寒具に始まり、その後呪術や祭祀用、日常的に使う道具としての発展を経て、近代以降は装飾品としても使われるようになりました。
その中でも、今回はヨーロッパの革事情をのぞいてみましょう。
まずはイタリア。「イタリアンレザー」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?イタリアでは古くからタンニンなめしがおこなわれており、同時に発展してきた染色技術も相まって柔らかく絶妙な発色が特徴の革製品が多く存在します。ルネッサンス期にはかなり精度の高い装飾の技法が確立され、それまでの用途だった本や刀だけでなく、インテリアにも革が取り入れられるようになっていきました。
次に、エレガントなイメージのフランス。世界的に有名な革ブランドが本拠地を置く国なので、自然と上質な革が集まってきます。一方で、中世以降は多くの戦いの舞台になったこともあり、馬具や馬車の道具、武器を製造する技術を継承・応用してきたという歴史もあります。
最後は伝統を重んじる国、イギリス。馬具や書物に革を用いることが多く、用途に応じた質感や、丈夫で長持ちする革の生産に長けています。門外不出の技術を持つことで有名なタンナーも多いのだとか…。ちなみに私、イギリスのテーラーが本拠地の某スパイ映画シリーズが大好きなのですが、英国紳士といえば革靴ですよね!(だいぶ主観が入っています)紳士靴の有名ブランドが多いのもイギリスの特徴です。あの映画、知っている方は頷いてくれると思いますが、小道具が魅力的すぎて画面の隅から隅まで見ちゃうんですよねえ…久しぶりに観たくなってしまいました。
さて、革から見る世界、いかがですか?私の唯一の海外経験はヨーロッパではなかったのでまだ想像上でしかお話ができませんが、古き良き街並みだけではなく、お店をじっくり回って本場の革製品を見てみたい!と、途端にワクワクしてきてしまいました。その土地に今も息づく伝統、直接肌で感じてみたいですね。いつか訪れるそのときまでこのコラムが続いていたら、たっぷりレポートしたいと思います。