さて、最近のコラムでは音楽やスポーツといった様々なジャンルでの革のお話や、日本を飛び出し海外で扱われている革製品の特徴、そして時をさかのぼって革の歴史についてもご紹介して参りました。いやあ、バラエティに富んできましたね。この「革いいね!コラム」、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、毎回記事にハッシュタグが付いているんです。トップページを市へ下へずーっとスクロールすると、今までハッシュタグとして使われてきた革に関するキーワードがずらっと一覧できるんですが、これがなかなか壮観…。ちなみにキーワードをクリックするとその言葉が登場した回の記事にひとっ飛びできるのでとっても便利!「これ何だろう?」と思ったらぜひクリックしてみてくださいね。以上、突然の宣伝でした。
さすがに宣伝では終われないので、ちゃんと今回もお話しますよ。冒頭の文章、サボってるわけじゃないですからね。ハッシュタグで過去の記事を振り返っていたら、そういえば…と思い出したので、久々に「なめし」のお話の続きをしようと思います。
以前は非常にざっくりと、「皮」を「革」へ改質するという役割を持つひとつの工程としてなめしをご紹介しました。姫路の白鞣しについて書いたこともありましたね。この白鞣しのように、日本ではもともと、塩や水、菜種油を使った大陸から伝えられた手法でのなめしが受け継がれてきたのですが、この方法は時間と労力がかかるという懸念点もあります。では、現代ではどのように効率よくなめし作業をおこなっているのでしょう?
現在使われているのは「タンニンなめし」と「クロムなめし」という手法です。
タンニンというのは、欧米で発展してきた植物由来の成分。タンニンなめしは、後述するクロムなめしよりも時間とコストがかかるのですが、染料をよく吸収するため染色がしやすかったり、型崩れしにくく丈夫など利点も多くあります。紳士鞄でよく用いられる、男性向きの印象が強いようですね。
そしてもう一つのクロムなめしですが、こちらはなんとたった1日で完成してしまうという圧倒的スピード感!塩基性硫酸クロムという化学薬品を使って処理する、工業用品から洋服まで幅広く用いられている手法です。耐熱性やしなやかさに優れる等の特徴を持ち、完成品のエレガントなイメージから衣服として用いられることが多いそうです。
また、クロムなめしの普及率の高さから縮小傾向にあったタンニンなめしは、最近になって環境問題等の観点から見直され始めているようです。タンニンなめしは吸湿性に富んでいるため、使えば使うほど魅力が増すのも特徴のひとつ。「ナチュラルで長く使えるもの」という消費者の意識変化も相まって、シェア拡大やさらなる技術向上が注目されているのだとか。ちなみにタンニン、クロム両者を組み合わせた「コンビネーションなめし」という、なんだかかっこいい響きの方法もあるようです。用途に合わせたさまざまな手法で、革製品はもっと魅力的に進化していきそうですね。
料理が身近な例だと思うのですが、同じ素材でも調味料を変えたり煮る・焼く・蒸す等の調理を変えるだけで全く違う出来上がりになります。革も一緒なんだなあと、調べていて感じました。革をどうアレンジするかで、革の未来は無限大です。
なんだか最終回のような締めくくりになりましたが、終わりません。また次回お会いしましょう。