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鶴は千年、は万年

手帳。その響きはどこか大人っぽいイメージを連想させ、小学生の時分から某ドーナツショップのおまけで手に入れては「〇〇ちゃんと遊ぶ」というような予定をフフンと鼻高々に書き込んでいました。私は仕事のスケジュールの一切をweb上のカレンダーでスタッフと共有しているため、紙の手帳で予定を管理することはほとんどありません。自分の予定を書き込む用として一応持っておこうかな、と思って買ってはいるんですが、ここ数年まともな予定が書き込まれた試しがないのです(お金の無駄遣い!)。しかし、毎年秋口になると書店や文具店に出現する「来年の手帳」コーナーを見かけると、どういうわけか吸い込まれるように足を踏み入れてしまいます。いやあの、本当にね、使わないんです。私の今年の手帳の白さをぜひ見ていただきたいくらい。なのに立ち寄って、挙句よさげなものを見つけると、あれよあれよという間にお会計へ……。紙の手帳を持つのが、なんかイイ!という自分の謎のポリシーが働いているのかもしれません。ええ、今年も買ってしまいましたとも。来年こそたくさん書き込んでやりますよ。世間ではこういうのを「フラグ」と呼ぶことも、私はよく存じ上げております。

と、先ほどから手帳手帳とのたまっておりますが、今回はその手帳のカバーについてです。
「手帳は〇〇」というお馴染みのキャッチコピーとともに毎年ずらりと並んでいる手帳を見てみると、しっかりした革のカバーで包まれたものがたくさんあります。このコラムでも何度もご紹介しているように、革の特徴といえば強度と経年変化。仕事の資料、財布、スマホといった様々なアイテムと一緒に鞄の中へ、時にきちんと整理整頓されて、しかし時に雑に突っ込まれるであろう手帳は、しっかりとした厚手の革でできたカバーのおかげで変形を免れているのです。また、中身を差し替えながら同じカバーを使い続ければ、年々良い味が出てきて手にも馴染んできます。ハリウッド映画で、ベテラン刑事のコートの胸ポケットから出てくる年季の入った革の手帳には、彼が長年追い続けている凶悪事件の犯人の情報が書き連ねられていて……と、私はハリウッド映画を頻繁に観るわけではないので完全に勝手なイメージですが、そんなアイテムとしても活躍しそうですよね、革の手帳。今はバインダーが付いて、中のページをカスタマイズできるシステム手帳を使っている方も多いのではないでしょうか。機能性にも優れているので、実用的かつ気軽におしゃれな毎日を楽しむことができますね。

古くなる=ボロボロと思われがちですが、革のように「年季が入る」という表現が使われ、年を重ねるごとに魅力を増すアイテムは多く存在します。私自身、割と新しいものに目がいってしまうタイプなので長く使っていたものもそのうちほったらかしに……というパターンが少なくないのですが、きちんと使い続けることで生まれる愛着は並々ならぬものでしょう。
来年1年をかけた手帳チャレンジできちんと「使う」という最低レベルをクリアできたあかつきには、ひとつ立派な革のカバーでも買って、人生の伴侶にでもなっていただこうかしら。

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