前回は珍しく実録レポをお送りしました。手を動かすことが楽しいということに気づくと、やはり私は何かをつくりたい人なんだなあと思ったりもするのですが、いかんせん力が無い。お前の筋力どこいった?レベルなんです、本当に。職場でも非力認定をされているので、大掛かりな作業をするときにあまりお力になれません。先輩方、申し訳ない、いつもありがとうございます。この場を借りて謝罪と感謝を…。というわけで、ここで大人しくカタカタと文字を打つことにします。
今回は少々視点を変えて、「産地」のお話をしてみましょう。ワークショップで訪れた「UNITE STORE」は、姫路のなめし革製品を売っているお店だと書きました。お恥ずかしながら、引っ越してくるまで、というかこのコラムを書かせていただけることになるまで全く存じ上げなかったのですが、革のなめし加工の全国シェア7割を占めるのが兵庫県なのだそうです。な、7割!?相当じゃないですか、すごいな兵庫。その中でも姫路には今でもたくさんの工場があります。
姫路といえば、以前なめし加工のことについて書いた際「姫路白鞣し(なめし)」にほんの少しだけ触れました。かつて主流だった「姫路靼(ひめじたん)」は、川で数日間牛皮を浸し、天日に晒したのち天然塩と菜種油を加えて乾燥と揉みを繰り返すという、常に自然とともにある作業。ちなみに「白鞣し」とは、この作業過程で生まれる独特の薄乳白色を指します。江戸時代には特産品となり、明治時代には海外からも高い評価を受けて姫路の産業を支えた姫路靼も、歴史の中で衰退していきました。
しかし革産業は続いています。姫路には、姫路靼の再生に取り組んだり新しい試みに次々と挑戦するタンナーたちが、今でもいるのです。平安時代末期の法令集「延喜式」には播磨地方で古くから製革が行われていたことについて記されており、中世以降も「播磨の革工能く熟皮(なめしがわ)を物し、その品争ひて当時の武士に求められる」と言われるほど全国的な人気を誇っていた姫路の革。その歴史を途絶えさせまいと奮闘する姿は、まさに職人と言うに相応しいのでしょう。一度、その熱いソウルを間近で見てみたいものです。
さあ、姫路に行く理由ができました。ついでに姫路城にも登れるに違いない。用事があって足を運んだことはあるのに城には踏み入ったことがないのです、もったいない…。
まあ城は城として、地場産業に触れるのは理解を深めるのに重要なことです。そのうちこのコラムでもご紹介できる日が来るかもしれませんので、のんびりお待ちいただけましたら幸いです。
さて、姫路城周辺の美味しいものでも調べるかな……冗談です、冗談。