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は一日にして成らず

革、お前だったのか。
いつもスマホを守ってくれていたのは。

これは革いいね!コラム連載第1回のタイトルですが、そのスマホケースを変えました。いえ、正確に言うと、このタイトルで言っていた革のケースとは機種変更にともなって随分前にお別れして、別のケースを使っていたんです。…プラスチック製の。そこは革にしろや!と自分でも思いますが、なにせスマホ本体を可愛いイエローにしてしまったものですから(何を使っているかなんとなくバレる気がする)、どうしても色を見せたくて透明でシンプルなケースにしたというわけです。ただ、そのケースもフチの部分がバリバリと欠けてきてしまい、最近になってケースどころか液晶保護のガラスシートにまでヒビが入る始末。これはよろしくない、もうちょっと優しい素材にしよう、というわけでシリコン製のケースに買い替えたってわけです。ちなみに時既に遅しですが、この話は全然重要じゃないので、すっ飛ばしていただいて結構です。

なぜこんな話を革のコラムでしているのかと言いますと、ポイントはその新しく買ったケースの説明書にあります。購入したのはよくあるスマホアクセサリー専門店みたいなお店で、「箱は要らないですか?」と聞かれてはいと答えたら裸の状態で手渡されてちょっとびっくりしたんですが(たぶんすぐに付け替えられるようにだと思う)、さすがに説明書は付いていました。家に帰ってケースを取り出し、まあ読んだらさようならしていいかな、などと考えながら説明書をぺろりんと開いたら…これまたびっくり、私がこれまでコラムで紹介してきたような革関連のワードがいたるところに登場しているのです。あ、あれ?私が買ったのはシリコンケースだった気が…?どうやら、この会社がつくっている商品に使われている素材の説明をまとめて1枚にしているらしく、どの商品を買っても同じ説明書が付いてくるようです。ああ、あったあったシリコンの項目。

それにしても、オーストリッチにワニ革、エイ革、スエードにヌバックにベロアにエナメルまで…なんだかこれまでの革いいねコラムが走馬灯のように駆け巡ります。すごいなあ、こういうところにも革ってたくさん使われているんですね。
説明書の最初のほうに「皮革製品」としてまとめて記述されているところがあるんですが、「皮革は自然の産物のため、一つ一つ個体差が生じます」という文章から始まっています。やっぱり革の良さってこれですよね。太古の昔には「生きるために」身につけていた革ですが、今は毎日の生活をより豊かにするために、オシャレを楽しむために身につけています。自分の手元にやってくる革には、もとになった皮の持ち主が確かに“生きていた時間”があって、形は変わってしまっているけれど私たちはその時間の続きをもらっているんじゃないかな、となんとなく思います。経年変化という言葉も、このコラムで何度も使ってきました。説明書にある通りきちんとお手入れして、長く大事に、ひとつの個性を使っていきたいものですね。
そして、そんな筆者のスマホケースは、シリコン製なのでした。

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