kakeru kawaru
KAKERU KAWARUとは、革製品のデザイナーや革を扱うアーティストにおもしろい革を選び、その革に感性や技術をこめて世界に1つしかないものをつくり、次の時代にものを残す企画です。

#3ジュコさんに料理してもらう革

「ジュコさんのKAKERU KAWARU」第3回目は、ジュコさんに作ってもらうプロダクトに使う革についてです。吉比産業の岩本が面白い革を3種類選びました。「どう料理してくれるか、楽しみ」と語るように、それぞれクセの強い革ばかり。まずは1つ目。
1つ目は、ネオプレーンで革を挟んだ生地です。ネオプレーンはウェットスーツでよく使われています。革をサンドイッチさせたこの生地を、どう料理するのか。ちなみに吉比産業の革は、年2回春と秋にイタリア・ミラノで開催される世界最大級の皮革見本市「リネアペレ」で見つけてきたものが多く、今回、ジュコさんにチョイスする革もリネアペレで見つけたものです。
毎回、リネアペレに行った際、センスに惚れているタンナー(動物の皮を製品の革にする人のこと)のブースをいくつか訪れて面白い革を見つけているそうです。「今シーズンは何を出すんだろうっていうことを楽しみにしていますね」と語る岩本。ジュコさんに提案する2つ目の生地も、センスのいいタンナーが扱っていたヌメ革のベロア(ベルベットに似たビロード生地)。そもそもヌメ革のベロアというのは珍しくて、雰囲気があってとてもかっこいいのが特徴です。特に、今回のポイントは浅い色。足し算では生み出されないので、とても難しいと岩本は言います。浅い色をしたヌメ革のベロアは、それを手がけたタンナーへのリスペクトも含めて、今回選んだそうです。
3つ目は、2つ目の生地と同じタンナーが扱っている革を選びました。馬のおしりの部位を使った革、いわゆるコードバン。革のダイヤモンドとも言われるので、日本ではエレガンスなイメージがあると思います。ただ、イタリアのタンナーが大切にしていることは、革自体の良さをどんどん出していくこと。あえて染料のムラがあったり、野性味があふれているところがポイントだそうです。   ジュコさんの感性で選んだ3種類の革。ジュコさんに提案する前に、次回はそもそも岩本が革を選ぶとき、何を考えているのか、何を大切にしているのかをお届けします