kakeru kawaru
KAKERU KAWARUとは、革製品のデザイナーや革を扱うアーティストにおもしろい革を選び、その革に感性や技術をこめて世界に1つしかないものをつくり、次の時代にものを残す企画です。
#1ものを残すということ
「ジュコさんのKAKERU KAWARU」第1回目ですが、まずはそもそもなぜこの企画を立ち上げたのかというお話からさせてください。今回、デザイナーのジュコさん(JUCO.)にどのような革を選んでいこうかという中で、改めて見えてきたものがありました。それが、ものを残すということです。
吉比産業という130年以上の歴史を持つ革の卸売専門商社が立ち上げた「Otto due」というブランドがあります。ブランドアイテムは店舗やサイトで購入可能です。「Otto due」は、自分たちが思う本当にいい革や面白い革で、ものをつくるとどうなるのか?ということからはじまりました。かつてほどもの、特にファッションアイテムが売れにくくなった時代。そのような状況だからか、冒険しているアイテムというよりスタンダードなものが増え、似たような素材で似たようなデザインのアイテムばかりが、お店で並ぶことが増えたと感じます。
だからこそ、「Otto due」は今の時代、製品化する際に選ばれにくい面白い素材を使い、かたちにすることで、一般の方はもちろんデザイナーや作家の方々が手に取った時に刺激を与えたいと思ったのです。いいもの、面白いものに触れることで何かを感じてくれるはずだ、と。技術論やうんちくを残すのではなく、シンプルにものを残すということ。なぜそのようなことをしているかと言いますと、しかるべき人がものを手に取れば、どのような技術が使われていて息づく感性もしっかりと紐解いてくれるからです。そのためには、ものが必要。1つのものが、もしかすると次の時代の誰かに影響を与えることがあるかもしれません。これはきっと妄想ではないでしょう。今の時代の技術や感性、インスピレーションやイマジネーションをたっぷりと込めているので、ぜひ一度「Otto due」やKAKERU KAWARUで生まれたものに触れて欲しいです。
Otto dueやKAKERU KAWARUという企画で使う革は、革製品をつくる際にさまざまなパートで活躍する職人たちもほれぼれするような革です。その革をデザイナーはどのような感性や技術を込めて、どう料理にするのか。それをかたちにして、見てみたいから続けているのかもしれません。
まずは、吉比産業とも古くから親しくさせていただいているジュコさんのKAKERU KAWARUから。長くなりましたが、はじまりのお話でした。